• "福祉"(/)
ツイート シェア
  1. 福岡県議会 2011-02-04
    平成23年2月定例会(第4日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(田中 秀子君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。井上忠敏君。(拍手) *井上(忠)議員質問 2 ◯五十九番(井上 忠敏君)登壇 皆さん、おはようございます。自由民主党県議団井上忠敏でございます。  麻生知事と、平成十一年からのおつき合いでございますので、最後の質問になるかと思いますと感慨深いものがございます。  さて、今議会に提案された平成二十三年度暫定予算、そして十四日提案される予定の平成二十二年度二月補正予算を最後にして、麻生知事による予算編成も終わりを告げることとなります。そこで冒頭まず、暫定予算編成基本的考え方についてお伺いします。  本県では、県政における厳しい保革対立など特別な政治的背景もあって、統一地方選挙年度の当初予算は慣例的に暫定予算の方式によって編成してきており、そのため計上期間は本予算を編成するまでの暫定の四カ月となっております。もちろん、暫定予算とはいえ、四カ月間、基礎的な経費だけを計上することで県民生活に支障を来すわけにはいきませんから、本県ではこれまでも公共事業費を初め政策的経費新規事業についても、適宜、盛り込まれておりました。これも事実であります。  しかし、政策的経費をふんだんに、しかも年間所要額を計上することになれば、通常年度の当初予算との実質的相違がつきにくくなり、暫定たる前提が揺らぐことになります。ましてや知事が交代する今回のようなケースでは、新知事が民に信を問うて当選の上、その信任の上に立って、今後の福岡のあり方、政策のあり方を十分に議論することが必要であり、いやしくも新知事の政策議論が妨げられることがあってはならないと考えるものであります。  知事は、今期限りの勇退を九月議会で表明されました。さきの十二月議会においても、私どもは、知事のこれまでの取り組みを具体的にただしてきたところであります。私どもがこうしたことをあえてお聞きしたのも、来年度が暫定予算になるとの慣例を前提として、新知事のもとで、これまでの県政を引き継ぎ、本予算についての建設的な議論をしていくことが必要であると考えたためであります。しかるに、今回の予算においては、新たに各種の将来ビジョンの策定経費を計上するなど、福岡県の将来をどのように考えていくのかといった根本的な政策議論が必要な新規の政策経費もふんだんに含まれているわけであります。これでは、県民の負託を受け、新しい考え方で予算を編成していこうとする新知事の予算編成を縛るのみならず、今議会では、将来にわたる福岡県のあり方を今期で御勇退になる麻生知事と議論しなければならないということになります。新知事が進めたい政策を今回の暫定予算に滑り込ませ、新知事での政権下でも影響力を残していこうとする意図を感じるのは私だけでしょうか。このようなやり方は、勇退を英断された麻生知事の有終の美を汚すことにもなりかねないと危惧しております。  そこで、福岡県独特の暫定予算における予算計上の考え方についての知事の所見と、今回の暫定予算編成方針について、まず伺っておきます。  まず第一点ですが、暫定予算、それも本県の場合、暫定骨格の編成が本旨とされていたわけですが、それらに反し、ふんだんに政策予算を計上されていることは、知事があなたの後任を選ぶ四月福岡の知事選挙に異常に深入りされていることと気脈が通ずるわけですが、いかがでしょう。  私は、次期福岡県知事選挙に自民党としてだれを推薦するか、その候補者を決める選考委員の一員として三度にわたる選考委員会に臨み、推薦を申請されてきた三氏それぞれと、深く意見も交わしました。この結果、これまでも福岡県政に深くかかわり、そうした経験のもと、これからの福岡県勢の発展に最も高い知見、政策を持ち、実現のための手腕と実行力を持っているのが、我が自民党県議団藏内勇夫会長である、との結論から、次期知事選に自民党として推薦する候補者を藏内氏に内定したわけであります。このことは改めて紹介するまでもなく、マスコミ報道等で十分に御承知のことと存じます。  そこでお尋ねしますが、このような経過並びに結果、すなわち自由民主党福岡支部連合会次期県知事候補として藏内勇夫氏を推薦することとしたことについて、知事の率直な見解をお尋ねします。  さて、麻生県政がスタートした平成七年当時は、バブル経済崩壊の影響が国内経済全体に大きな影を落とし、また円が一ドル八十円を突破した年でもありました。既にこのころから本県財政県税収入の伸び悩み、義務的経費の増嵩の中で、県債の増発と大幅な基金取り崩しで収支の均衡を図らざるを得ない深刻な状況にあり、しかもその基金も底をつき、県債残高も一兆四千億に上るなど大きな危機を迎えていたわけであります。このように財政構造を見る限り、十六年前と現在とで全く違いがないように見受けられることが、まずもって驚きであります。  この際、さらに掘り下げてみます。平成七年度当初予算と、今回は暫定予算でありますので、二十二年度当初予算との比較ですが、一般会計の予算総額は一兆四千五百億円が一兆五千九百億円と一割増になっております。一方の歳入ですが、税はどちらの年も四千五百億円で変わらず。交付税は二千六百億円が二千八百億円で一割増。県債は千八百億円が千二百億円で三割減となっております。なお、七年度には臨時財政対策債はゼロであったものが、二十二年度には千六百億円となっています。その他の歳入は、いずれも五千七百億円で変わらずであります。歳出ですが、人件費は五千三百億円が五千百億円で微減。社会保障費は千二百億円が二千四百億円と倍増。公債費は千四百億円が千九百億円と三割増であります。その他の歳出は、いずれの年も六千五百億円で変わらずであります。  以上のとおり、十六年前との比較で、予算総額では一割ほど増加していますが、肝心の県税収入は横ばいであります。交付税は微増、県債は大幅に減っていますが、これは交付税の身がわりと称されている臨時財政対策債で肩がわりしているからであります。他方、歳出の社会保障費や公債費は大幅増であります。また、この間の三基金残高は千百億円から三百数十億円と三分の一に、県債残高は一兆四千億円から三兆円に倍増する結果となっています。  まずはこの結果について、とりわけ十六年も経過したというのに、税収はほぼ横ばい、一方歳出の社会保障費等は大幅増、そして基金と県債の残高はただいま述べましたような状況。一体、麻生知事はどのような感想をお持ちでしょうか、率直にお答え願います。  臨時財政対策債は交付税の一種であり、国が責任を負うべきものというのが執行部の考えでありましょうが、一般県民から見れば、しょせん借金であります。幾ら将来の交付税で戻ってくると言ってはみても、国の財政が火の車状態では、空証文になりかねないと考えることは、あながち杞憂ではないと思います。結局、今の財政構造は、大幅にふえていく社会保障費について、税収では賄い切れずに臨時財政対策債という借金で手当てをし、それによって県債残高が大きく膨らみ、結果、公債費が増大していくという負のスパイラルに陥ってしまっているということではないでしょうか。二十三年度の国家予算では、九十二兆円の歳出のうち、税収では三十七兆円しか賄い切れず、四十四兆円の国債を発行して収支の帳じり合わせをしているという政府の無策ぶり、国家財政の縮図が、地方に大きく影を落としているということにほかならないのだろうと思いますが、いかがでしょうか。地方自治に携わる者の一人として、全くやりきれない思いを持っているのは私だけではないと確信いたします。恐らく全国の地方公共団体財政状況も似たり寄ったりであろうと思われますが、さりとて、これまで県政運営に当たってきた麻生知事が、本県の厳しい財政状況の責任のらち外にいていいものでもないようです。  そこでお伺いいたします。今後、本県財政なり地方財政を持続可能なものとするために、万策というか処方せんはどういうところにあると考えているのか、知事として、また全国の地方公共団体のトップとして、この際率直なお考えをお聞かせいただきます。  さて、そこで大変気になるのですが、県内の景気動向でありますが、先ごろ公表された平成二十三年一月の県内経済の動向でもなお、「福岡県の景気は、持ち直しの動きが足踏みしている。また、雇用など厳しい状況が続いている。」とされております。中でも中小企業の景気については、はっきりと「厳しい状況が続いている。」と指摘されています。また、雇用については、「雇用情勢は、依然として厳しい状況にある。有効求人倍率は、持ち直しの動きが見られるものの、低水準で推移している。」とあります。こうした状況を知事も感じておられたわけでありましょう。この時期としては異例の一月臨時議会を招集され、三百四十八億円に上る補正予算を提案されました。我々議会もこの姿勢は是として、直ちに審議し、議決を行ったわけでありますが、この補正予算の中で計上されたさまざまな公共事業雇用対策が早期執行されることによって、県内中小企業や職を求めている未就職の若者たちにとって、文字どおり回復策になるよう、我々も執行部とともに最善の努力を尽くしていくことは言うまでもありません。
     こうした中、まことに腹立たしく、怒りを覚えることは、景気対応緊急保証制度と、いわゆるセーフティネット貸付制度を政府がこの三月をもって終了させてしまうことであります。政府・自民党時代の平成二十年十月に導入したこの資金は、八千万までは無担保で融資が行われ、かつ信用保証協会の一〇〇%保証が受けられるという画期的な資金でありました。本県での融資実績も、導入以来、この二年余りで実に四千億円にも上り、この間、県内企業の倒産回避に大きな貢献をしたと伺っております。民主党政権経済無策ぶりは今に始まったことではありませんが、このように高い実績を上げたセーフティネットを打ち切ることは、全国四百万社の中小企業の見殺しにつながる、まことにむごい政策であります。その点福岡県は、今議会に提案されている二十三年度暫定予算において、緊急保証利用企業借換資金制度の創設に見られるように、一千億円の融資枠を用意しているところから、少なくとも当分の間は倒産も回避できるのでは、などという安易な思惑もあるようですが、状況はそのように悠長なものではなさそうです。この緊急資金を初めとする中小企業制度融資に関連し、県の信用保証協会に対する損失補償額が増大しているという心配な状況を聞き及んでいるためであります。  そこで知事に伺います。リーマンショック前の平成十九年度以降における保証協会代位弁済率及び金額、さらには県の損失補償費の推移についてお答えください。  我々が最も心配していることは、保証協会において代位弁済がふえてまいりますと、保証渋りの状況が知らず知らずのうちに高まってくるのではないかということであります。無論、保証協会が保証するに際して、申し込まれた案件について経営審査を行うのは当然のことでありますが、代位弁済の増大に伴い、中小企業に対する姿勢が以前に比べ渋くなってくるのは無理からぬことではないでしょうか。融資審査の現場がまことにシビアな状況となり、そうなれば影響をこうむるのは資金繰りに苦しむ中小企業であり、今後の本県景気動向に暗い影を落とすのではないかと危惧するものであります。  このような予想される最悪の事態を避ける手段の一つは、県が損失補償について東京都や千葉県、兵庫県のように高率の補償をして万全を期し、保証協会に審査の弾力化を推進させることです。現に、我が会派に対し、昨年十一月、商工会議所連合会による中小企業関係施策に関する要望が提出されました。その第一の柱の中に中小企業資金繰り対策の充実が掲げられ、その中でよりリスクの高い案件への審査の大幅な弾力化が要望されています。我々は、大企業産業活動に理解と評価が高かったことで、つとに知られた知事のことですから、勇退を控えたこの際、中小企業資金繰りの強化に向けても後世に引き継がれ、中小企業者に高く評価される何らかの施策が残せないものでしょうか。麻生知事の大英断を期待して、この項を終わります。  次に、各種先端成長産業研究所の今後の運営についてただしておきます。麻生県政の特徴の一つに、箱物行政には非常にストイックであったことが挙げられます。麻生県政が誕生した平成七年当時は、バブル経済崩壊の影響が国内経済全体に大きな影を落とし、阪神・淡路大震災経済復興の動きに大きな打撃を与え、円が一ドル八十円を突破した年でもありました。新知事として過酷なまでに厳しいスタートを切らざるを得なかったわけでありますから、箱物に手を出す余裕がなかったことは想像にかたくないところです。それがけがの功名であったのかもしれません。  しかし、この数年、商工部を中心に目新しい施設が次々にオープンしております。十二月議会の代表質問で取り上げました平成十六年開業の福岡システムLSI総合開発センターに始まり、同じく平成十六年開業の福岡バイオインキュベーションセンター、昨年オープンした水素エネルギー製品研究センター、Ruby・コンテンツ産業振興センター、今春、前原市に開業予定の三次元半導体研究センター社会システム実証センターなどであります。新年度暫定予算の説明資料には、こうした施設に関連する予算として、水素エネルギー戦略事業費として二億三千万余り、先端システムLSI開発拠点化事業費として三億二千万円余り、Ruby・コンテンツ産業振興センター運営費として二千百万円余りなどが掲載されております。これらの施設は、知事が得意とされた先端成長産業分野研究施設ということでありましょうが、このような分野は世界じゅうの民間企業先駆者利益を得んとして日々しのぎを削り、競争に明け暮れているのではないでしょうか。こうした先端研究分野にリスクをとって進出されることについて、県独自で先駆的、先見的に取り組んできたことは産業界に大きな期待があり、一定敬意を表すべきことでしょうが、一方では、一地方公共団体が税金を投入してまで実施すべきことであったのかと、今さらながらまことに悩ましいものがあります。  そこでお伺いします。こうした先端研究施設について、県として取り組まれることになったその背景や意義、知事の思いについて改めてお答え願います。  素人考えではありますが、こうした研究施設は、立ち上がりに当たり、運営費や研究費の捻出に大変な苦労が伴うと思われますが、二十三年度予算では、県費一般財源を幾ら投入されているのでしょうか。  また、国費予算や民間からの研究費の支援を獲得できれば、その分県費負担が軽くなるわけですが、その獲得状況はいかがでしょうか。  さらに、今後の見通しについて、主な施設で結構ですのでお答えください。  さらには、こうした研究施設について永遠に税金投入されるお考えなのか、それとも、いつかの時点で自主運営が可能となるような運営計画がおありなのか、知事の率直な見解をお伺いし、この項を終わります。  次に、農林水産問題についてであります。TPPについて、昨年十二月県議会における我が会派の代表質問にて知事の所見をお尋ねしました。知事は、農業は保護が必要と言いつつも、TPPには積極的に参加すべきかのような答弁をされ、その内容に耳を疑ったのは私だけでしょうか。農業についても造詣が深いと思われていた知事のことですから、農家の声をよく聞かれ、どのような影響があるのか十分に思慮された上で御判断されるものと考えておりましたので、私は知事のこの答弁に驚きと憤りを隠し得ませんでした。さらに、知事は十二月に福岡市内で行われた農家のリーダーが集まった研修会で、あいさつにもかかわわらず二十分ぐらい極めて熱のこもった話をなされました。農業のために自分は頑張ります、フォローしますよと延々と言われましたが、農家のリーダーは全然耳を傾けなかったし、拍手はまばらでありました。農家がそれほど危機感を持っていることを、見識ある知事がなぜ理解できないのか私にはよくわからないのであります。このような中、菅首相は今通常国会の施政方針演説の冒頭、国づくりの理念の一つとして、平成の開国といった意味がよくわからない言葉を用い、貿易や投資の自由化、さらには人材交流の円滑化といった包括的な経済連携の推進を表明するとともに、TPPは六月をめどに交渉参加について結論を出すと明言し、県内農家の不安や危機感は日に日に増しております。  そこで知事に伺います。先日の新聞で、県幹部のTPPに関する不用意な発言で現場が混乱し、県農業に悪影響が出ているとの報道がなされておりますが、この内容についてどのように受けとめておられるのか知事の所見をお聞かせください。  さて、我が会派はこのところ、議会のたびに、戸別所得補償制度について知事の見解をただしてきました。これまでも、この制度の欠点を指摘してきました。このままでは本県の農業・農村振興条例が目指すところの農業の持続的発展につながるとは到底考えられないのであります。こうした中、知事は昨年の秋口から精力的に県内各地の農業現場、とりわけ水田農業の集落営農組織を回り、農家の方々の意見をじかに聞いて回られたようです。  そこで知事に伺います。私どもはこの補償制度が本県の農業、いや日本農業の今後に決して好ましいものをもたらさないと判断していますが、知事は戸別所得補償制度が本県農業にどのような影響を及ぼすと認識しているのか、さらにはその影響を受けずに条例が目指す農業の持続的発展につなげるためには本県はどのようにしなければいけないと考えているのか、また次の知事に何を引き継ごうとしておられるのかお伺いします。  次に、鳥インフルエンザについてお尋ねします。高病原性鳥インフルエンザが昨年十一月三十日に島根県安来市の養鶏場で確認され、残念なことに本年一月二十二日宮崎市で、翌二十三日には宮崎県新富町で発生、その後、鹿児島県、愛知県と相次いで発生し、さらに宮崎県内で九件の発生が確認され、とうとう隣県の大分市でも発生し、二月七日現在、十五例で百十二万羽を超える鶏が殺処分されたと聞いております。宮崎県では、昨年の口蹄疫被害からようやく立ち直りかけていたところに、今回立て続けに鳥インフルエンザが発生し、さらに追い打ちをかけるように新燃岳の噴火と、本当にかける言葉が見当たりません。宮崎では口蹄疫の反省を踏まえ、迅速な防疫措置に努められたようですが、発生の拡大はとめられず、大分市で発生したことで、本県でもいつ発生するとも限らない状況と考えられます。本県は養鶏が大変盛んであり、約五百八十万羽が飼育されており、特に採卵鶏は九州で鹿児島県に次ぐ産地であります。また、本県はアジアの玄関口として交通アクセスにすぐれており、人や物の往来が大変盛んでありますが、お隣の韓国では家畜伝染病である口蹄疫や鳥インフルエンザが猛威を振るっており、口蹄疫は南部の一部地域を除きほぼ全域に拡散発生し、これまでに家畜の殺処分対象は約三百万頭を超えたと報道されており、本県へのウイルス侵入の危険性が非常に高まっています。  そこで知事にお尋ねします。今回の鳥インフルエンザの相次ぐ発生を受けて、本県ではどのような対応をとられたのかお聞かせください。  また、万が一本県で発生した場合、被害を最小限度に抑えるための体制は万全なのか、その対応状況をお聞かせください。  今回の鳥インフルエンザのように、家畜伝染病等は、一たんどこかで発生すると九州各地へと拡散するおそれが高いことから、緊急時に的確に対応できるよう九州全体での防疫体制の整備が重要と考えますが、知事の御所見をお聞かせください。  次に、教育問題について伺います。  まず、少人数学級問題についてであります。昨年十二月十七日、国家戦略担当及び財務、文部科学の三大臣によって、少人数学級実現についての意見の合意がなされた、とされていますが、全く内容に乏しいものであります。三十五人以下学級の実施は小学校一年生のみであり、その他の学年については来年度以降の予算編成において改めて検討するということであります。また、小学校一年生の三十五人以下学級実現のため、全国で四千人の教職員定数を措置するということですが、実際の教職員定数の増員はわずか三百人であります。これでは国民に対し、数字上のごまかしを行っているようにしか見えません。民主党政権がマニフェストのつじつま合わせを行っているだけであって、国民の期待を大きく裏切るものであります。  ところで、現在の制度でも、一学級の生徒が四十人を超えると二つの学級に分けることができ、さらに市町村が独自の費用で少人数学級を実施しているところも多く、実質的には本県を含めた全国各地で既に少人数学級の導入が広く普及していると思われます。  そこで教育長にお尋ねします。本県においても、少人数学級の実施については、独自の手法で取り組んできたと聞いていますが、現在どのような状況となっているのかお答えください。特に、小学校一年生の現在の学級数と、そのうち既に三十五人以下になっている学級数はどれだけあるのか、また来年度すべての小学校一年生に三十五人以下学級が実施された場合、新たに本県においてはどの程度の定数増が予想されるのかお伺いします。  次に、教育長自身は少人数学級の効果についてどのような所見をお持ちかお答えください。  また、特に今回の小学校一年生だけの制度改正をどのように考えているのか、あわせてお伺いします。  もう一点は、少人数学級の実施による定数増に伴う教員の確保の問題です。既に来年度の教員採用試験は終了しており、この定数増の前に必要な教員数は確保されていると思います。もし来年度予算が成立した場合、少人数学級に伴う教員の確保はどのように対応していくのか、さらに今後の教員の採用計画にどのような影響が生じるのか、教育長の明確な答弁を求めます。  民主党政権は教員の定数増ばかりを無造作に叫んでいるようですが、定数増には多額の人件費がかかることを忘れてはいけません。今の四十人学級でも、小学校一年生の子供たちの心をしっかりとつかんで、すばらしい学級経営や学習指導を行っている先生が数多くいます。県教委においては、今まで以上に教員の質をしっかりと高め、定数の活用を無駄にしないことを強く要望し、この質問を終わります。  次に、登下校における子供の安全対策についてお尋ねします。先月の二十四日に、山口県宇部市で下校途中の小学校二年生の女子児童が、不審者から顔や首を十数カ所切りつけられ重傷を負うという大変痛ましい事件が起こりました。これまでも登下校中に児童生徒が事件に巻き込まれることは、過去にもたびたびありました。福岡県においても、平成九年に春日市で小学校二年生女子児童が登校中に連れ去られ殺害された事件や、平成十五年には福岡市南区で中学校二年生の男子生徒が登校中に刃物で刺された事件や、同じ南区で小学校五年生の男子児童が登校中に液体燃料をかけられ大やけどを負う事件等が発生しております。近年、安全は個人の問題にとどまらず、社会問題としてとらえられております。今回事件が起こった山口県宇部市でも、日ごろから地域のお年寄りが見守り隊を務め、登下校時の見守り活動を熱心に行っておられたようであります。このように、子供の安全のために地域で一体となって取り組みが行われてきた地域においても今回のような事件が起きているということは、私どもに改めて安全対策の重要さを示しています。これまでの取り組みを再度見直し、改めて通学路の点検等を早急に行うなど、今まで以上に危機感を強く持ち、学校、家庭、地域、関係機関等の一層の連携を図り、常に大人が目を光らせ、子供を見守っていく取り組みをさらに強化することが重要と考えます。  そこで教育長にお伺いします。県教委は、各学校にどのような指導を行ったのか、今後どのように安全対策を強化していくつもりなのか、教育長の明確な答弁を求めます。  さて、私はこの代表質問の最後に、今、全国各地で頻発しています、都道府県知事や市町村長いわゆる自治体首長と議会の過激な対立について、その原因と解決策を求めて知事にただしておきます。これはまさに、戦後の我が国民主主義最大の危機とも言うべき現象であるためです。その最初のきっかけは、鹿児島県前阿久根市長による議会機能を否定する数々の行動でした。議会を招集せず、地方自治法に違反して予算や条例の専決処分を連発。市長の不信任、市議会の解散、市長の再選、リコール、新市長の誕生と、騒動が繰り返されました。大阪府では、府知事の提唱する大阪都構想を実現するため、知事みずから地域政党をつくり、来る統一地方選挙では、この新政党が府議会のみならず大阪市や堺市の市議会でも過半数を制して都構想を推進しようとしています。名古屋でも、市長の恒久減税構想に反対する市議会を解散させるため、市長自身が率先して地域政党を結成、解散請求すなわちリコールの旗を振り、請求が成立しました。市長も辞任し再び立候補、去る二月六日には市長選挙と市議会解散の是非を問う住民投票が実施されました。結果は、市長が圧倒的な強さで再選、一方、解散請求のほうは議会側にとって実に無残な結果となったことは御存じのとおりでございます。  これらの事例はそれぞれ様相を異にしますが、共通点があるように見受けられます。いずれも卓越した大衆人気を最大限に利用し、一方的で生煮えの構想や発想をあたかも住民の全体意思であるかのごとく印象づける、そんな状況を創出しようとしています。そして、議会を大衆意思に抵抗する勢力に追い込もうと、首長が率先して手練手管を弄している。結果、議会を否定、軽視する事態を招来していることは言うまでもありません。このような状況に対して、議会を軽視すれば政治を拒否する独裁との憂慮の声も数多く聞かれます。総務大臣も、喝采政治は民主主義にとって危険な要素と批判しています。しかし、こうした良識は住民の熱狂の中でかき消されがちです。さすがに阿久根市では住民リコールが成立、市長が交代することになりはしましたが、あれほどの阿久根市ですら、リコール賛成派と反対派がほとんど拮抗していた事実は驚くべきことです。地域の疲弊が進む中、市職員の厚遇に対する地域住民の反発、行革を通じその是正を図ることのできない議会への失望など、住民パワーのすさまじさを我々政治家は改めて深く銘記すべきであります。首長と議会がそれぞれ民意を代表し、相互に牽制し合う二元代表制が、我が国地方自治の最も根本的な骨格だと承知していますが、阿久根、大阪、名古屋の三市に見られるような騒動は、単に首長の特異な個性の問題にすぎないのでしょうか。それとも戦後六十年以上経過した我が国地方自治制度の制度疲労の問題なのでしょうか。さらには我が国民主主義の病理でしょうか。まずは、麻生知事の見解をお尋ねします。  そんな中、片山総務大臣は、阿久根市などに見られた議会無視の暴走に歯どめをかけるため、副知事や副市長などの選任を専決処分対象から除外することや、首長が議会を招集しない場合に議長への議会招集権を付与することなどを盛り込んだ地方自治法の改正案を今国会に提案しようとしていると聞きます。これら、とりわけ議会の招集権を議長に付与することなどについては、我々が昔から強く要望してきたことであり、もちろん異論があるはずはありませんが、改正案ではあわせて、リコールの必要署名数を都市部で引き下げること、住民の議会に対する直接請求制度の対象に、これまで六十年余にわたり除外されてきた地方税条例の改正等を加えること、さらには大規模公共施設の建設を問う住民投票で投票結果に拘束力を持たせることなども盛り込む方向と仄聞しています。  しかし、直接請求や住民投票での政策判断は、人を選ぶ選挙と全く異なります。一昔前、カリフォルニア州であった納税者の反乱事件を忘れるべきではありません。流れに任せて減税し財政破綻すれば、その自治体の自己責任、地獄を見ればよいというのは、危険な実験主義、冒険主義であって、政治が最も回避すべきものです。イギリスのある保守主義の政治哲学者は、提案されている変化が全体として有益なものと期待してよいということを示す挙証責任は、変革を唱える側にあると言っています。大阪府知事提唱の大阪都構想にせよ、名古屋市長の減税構想や中京都構想にせよ、さらに片山大臣の住民投票制度や直接請求制度の拡充にせよ、大方の住民、国民が納得できるような立証がなされていると言えるでしょうか。戦後、地方自治制度がつくられて六十年余。抜本的な制度の見直しが必要だとしても、政治的な熱狂に突き動かされた改革は国家組織とその運営に致命的な打撃を与えかねません。一方で喝采政治を危惧しながら、直接民主制度を安易に拡充することは明らかに政治的な矛盾であります。  四期十六年の任期を全うされ、このたび引退をされる麻生知事。ここはいま一度、すべての自治体が冷静になって、我が国の民主制と地方自治の真の進化に向けて、最近の首長と議会の対立、混乱を謙虚に反省、地方自治法改正の再検討も含めて、将来の地方自治制度のあり方を軌道修正すべきであると考えます。解決の処方せんを描くことこそ引退の花道にふさわしいと存じます。そして、次代の地方自治を担う若き政治家たちに、その実現を託していただきたい。政府に対し早急に修正を申し入れる必要もあると考えます。これらは、我が国の地方自治をあずかる知事会長としての責務でもあると考えますが、いかがですか。麻生知事への最後の質問として、見解をお尋ねいたします。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 3 ◯議長(田中 秀子君) 麻生知事。 *知事答弁 4 ◯知事(麻生 渡君)登壇 今回提出しております暫定予算についてでありますけれども、これは経常的な行政運営経費につきましては四月から七月までの所要額を計上いたしております。一方で、現在の県の状況を見てまいりますと、非常に厳しい経済情勢が続いております。その中で、県政の停滞を招くことのないようにしなければいけないということを強く考えまして、景気あるいは雇用対策、さらには着実な経済の成長軌道へ乗せていく政策、これが非常に重要であるというふうに考えまして、緊要な雇用対策、景気対策あるいは中小企業、農林水産業の振興などに必要な予算について措置をしていく、また新しい共助社会づくりを進めていくという考え方のもとで編成をいたしました。さらに、公共事業につきましては、上期に空白をつくらないという考え方のもとに、契約額を確保する、そのため前年度の当初予算に比べますと五五%の事業費を計上しておるということでございます。  自由民主党の知事選挙候補の選考結果について、どのように考えているかということについてでございます。これは、自由民主党の中におきます選考手続があるわけでございますけれども、それに基づきまして慎重な審査、検討が行われまして、最適な候補者といたしまして藏内氏が選考されたものであるというふうに考えているところでございます。  県の財政構造の問題についてでございますけれども、日本の経済は、長期にデフレ状態に陥っております。そして、その結果、経済が成長しませんものですから、地方税あるいは地方交付税の原資となります国の五税、これが大きく落ち込んでしまったという状態が続いております。一方では、このような経済的な低迷に対応いたしますために、景気対策をどうしてもやっていかざるを得ないということで、公債費などが増大をしている。また少子、高齢化がずっと進んでおります。社会保障費がどうしても毎年ふえていく、いわゆる自然増が続いております。このような状態でございまして、本県の地方財政を取り巻きます環境、依然として非常に厳しい状態が続いているわけでございます。  このような事態を我々はどう打開していくかということでございますけれども、一つはやっぱり、何といいましても景気を早く本格的な回復軌道に乗せるということが不可欠であると考えております。そして、この成長戦略によりまして、税源の涵養、税収をふやすということをやってまいらなければいけないわけでございます。本県のほうでは中小企業対策、あるいは自動車などの成長産業の育成、収益性の高い農林水産業の振興に全力を挙げてまいりました。これはまさに成長を図りながら、雇用をつくりながら税収もふやしていこうということでございます。さらに将来を考えますと、非常に発展をしておりますアジアの活力を取り込むということが不可欠であります。福岡・アジア国際戦略特区構想、これを国に提案しまして強く進めていくことが肝要であるというふうに考えております。  一方で、このような取り組みと並行いたしまして、税制をどうするかということも非常に重要な課題でございます。そして、我々は税源の偏在性が非常に少ない、また安定性のある地方税の体系をつくらなければいけないと考えておりまして、そのやはり中心となりますのは基幹税目でございます地方消費税でございます。この引き上げ、そしてまた国から地方への税源移譲を図っていく、この方向で進んでいく必要があると考えて、また具体的な活動をしておるところでございます。  信用保証協会代位弁済損失補償の問題についてであります。協会の代位弁済率はおおむね二%前後で推移しております。保証債務残高が増加をしております。したがいまして、同じパーセントでありますけれども、代位弁済の金額自体は、昨年度は二百九十億円でございまして、平成十九年度の二百十五億円に比べますと三割以上増加をしておるという実態でございます。これに伴いまして、代位弁済額の一部を補てんいたします県によります損失補償の金額も同じような程度で増加しておるという状況でございます。  中小企業の皆さんの資金繰り強化についてでございます。リーマンショック以降、県の制度融資におきましては、過去最大規模となります融資枠の拡大、金利の引き下げ、貸し付け対象業種の拡大など、これまでにない思い切った対策を講じてきております。この結果、緊急保証の保証実績でございますけれども、全国で第三位となります一兆二千億円に達しているわけでございます。また、協会自体の保証債務残高でありますけれども、大体この三年前に比べますと一・五倍に拡大しておるということでございまして、非常に積極的に協会の保証活動を行ってきたということでございます。県のほうでは、今後さらに代位弁済がふえることがありましても、協会によります積極的な保証が実施されるようにする必要があると考えておりまして、必要な措置を今後とも講じてまいる考えでございます。  先端的な研究施設の整備についてでございます。福岡県の経済あるいは雇用力、これが今後とも活発に発展をしていく、このためには今後非常に成長が見込まれます先端成長産業の育成、そしてまた集積を図ることが不可欠であります。新たな雇用をつくり、また雇用でも所得の高い雇用をつくらなくてはならないと考えているわけであります。このような成長産業をつくるというために、産学官が連携、協力をいたしまして、半導体、バイオ、あるいは水素といった戦略的な産業分野におきまして研究開発、人材育成、あるいは社会的な実証に取り組んでいるわけでございます。このような施設の整備でございますけれども、これは、大体これまで総額九十五億円を投じております。ただ、そのうち七十二億円につきましては、国から得た資金を活用しているわけでございまして、国の積極的な競争資金の獲得ということを図りながら、県側の負担はできるだけ少なくしながらこの整備を行ってきておるという実態でございます。  先端研究施設にかかわります二十三年度の予算の状況でございますけれども、これは運営あるいは研究にかかわる費用は全体で二十九億円でございます。そのうち県の一般財源から支出します総額は四億円でございます。残りの約二十五億円につきましては、国からの補助あるいは交付金あるいは民間の負担、そのような資金によって賄っているわけでございます。  今後でございますけれども、特にバイオ分野におきましては、二十五年度まで毎年三億円の国の資金が投入されるという予定になっております。さらに、ほかの分野におきましても、半導体、水素の各分野でも国の大型プロジェクト、民間資金、こういうものを獲得しながら進めてまいる考えでございます。  各施設の運営についてでございますけれども、これは中長期的な収支計画を策定いたしております。これらの施設は産学官連携によります研究開発、あるいは人材、企業集積を推進する公的な機能を担う支援施設という性格がございますから、県が人的な支援を要する施設もありますが、可能な限り自立できますような方向で運営をしてまいりたいと考えております。  TPPに関する発言についてでございます。農業は、多くの国でもそうでございますけれども、日本におきましても重要かつ最も基本的な産業であります。したがいまして、農業をしっかり保護し、成り立っていくという政策がつくられる、そして実行される、これがTPPに関する協議に参加する大前提でなければならないというふうに考えております。同時に、我が国は世界貿易の中で生きている通商国家でございます。自由貿易を推進しようという考えは必要であるというふうに思っているところでございます。  戸別所得補償制度の影響と本県のとるべき方策についてでございます。きょうは、この問題について恐らく最後の答弁になると思いますが、若干補足をいたしますと、私は所得補償制度に国の政策が大きく転換したということ自体は、非常に正しい政策転換であるというふうに思っております。そして、これが本来の意味での政策として実施されるならば、これまで水田農業ではずっと縮小過程をたどっておりましたけれども、これがうまく拡大できるという条件を整えることも可能であろうというふうに思っているわけでございます。しかし、現実に行われております所得補償政策は、まさに戸別所得補償制度と言われております。結局は、規模の大小にかかわらず一律に、兼業農家も含めまして所得補償をしていくという政策でございますし、一番中心であります価格維持政策から撤退するというところが非常に中途半端になってしまっておるということでございます。  その結果、何を我々は懸念しておるかということでございますけれども、これは我々県では、これまで法人化されました集落営農組織あるいは個別大規模農家といった永続性のある担い手、これを何とか強化し、育成をしていかなければいけないという政策を進めてまいりましたけれども、このような政策あるいは農業の構造改善政策、これが一律に行われるがゆえに、うまくいかなくなるということを非常に懸念しているわけでございます。そして、今後の高齢化の進行に伴う担い手の減少、あるいは水田農業の競争力強化を考えますと、今後とも永続性のある担い手に重点を置いた施策を早急に講ずる必要があるというふうに考えております。そのために、今回の予算では担い手の経営力を強化する、これを支援するための経費を計上いたしたわけでございます。  鳥インフルエンザに対する本県の対応についてでありますが、他県での発生を受けまして、家畜保健衛生所が農場への緊急立ち入りを行い、防鳥ネットの点検、鶏に異常のないことを確認いたしております。また、消毒の徹底、異常を発見した場合の県への早期通報を強く指導してまいりました。さらに、宮崎県で相次ぐ発生を受けまして、一月二十八日には知事命令を発しまして、従来の散布場所に加えまして防鳥ネットの内側にも消石灰を散布するといった農場の消毒の一層の強化に努めているところでございます。  また、万が一、県内で発生した場合に備えまして、発生時の緊急連絡体制や殺処分に当たる作業員の配置計画、消毒薬や防護服などの必要資材の備蓄状況の再点検を行って、初動活動が迅速にできるような体制を整えているところでございます。  家畜伝染病の防疫に対します九州全体での取り組みについてでございますけれども、九州は牛、豚、鶏など全国でも有数の畜産地域でございます。家畜伝染病の防疫に九州各県が取り組むことは極めて重要であります。このため、今回の鳥インフルエンザ、昨年の口蹄疫におきましても、九州各県が情報を共有する、さらに発生県への獣医師の派遣などを行って協力してまいりました。今後さらに、発生県の事例研究を九州各県で行いまして、情報提供のあり方、初動体制のノウハウの共有などについて取り組んでまいりたいと考えております。  二元代表制の点についてでございます。我々の地方自治制度におきましては、住民から直接選ばれました、いわゆる首長と議会、これが対等の関係機関としまして緊張を保ちながら、車の両輪、機能していくものということを想定しているわけでございます。各自治体によりましてさまざまな実情があり、課題があるわけなんでありますけれども、長と議会、これはそれぞれ託された民意を背景といたしまして、それぞれの立場を主張し合う関係にあり、意見が異なる場合も当然あり得るわけであります。そして重要な政策課題につきましては、十分議論を重ねて方向を見出していくという努力をしていくということが二元代表制の中心的な考え方であり、最も重要な点であるというふうに考えております。  しかし、今は意見がどうしても一致しないと、首長のほうが掲げた政策に議会のほうがなかなか同意しないということでございますが、その場合に、長のほうがリコール制度などを利用しまして、ともかくみずからの意見に賛成する議会をつくっていくんだという、そのような構成の議会を何とか選挙などを利用してつくっていくというこの考え方自体は、議会のチェック機能を失わせるということにつながっていくわけでございまして、二元代表制の考え方を揺るがしかねないものでございます。非常に慎重であるべきというふうに考えているわけであります。  地方自治制度の見直しの点についてであります。現在、検討されております地方自治法改正案、この中には、都市部でのリコールの要件緩和ということ、あるいは住民投票制度の創設といったものが含まれております。これは、現在の我々の地方自治制度の根幹にかかわる問題であるというふうに考えております。したがいまして、このような重要な見直しに当たりましては、現行制度が本当にどこに問題があるのか、その実態的な検証が不可欠でありますし、また地方の意見あるいは広く学界からの意見などを聴取していく、そして地方制度調査会などにおきまして幅広い観点からしっかりした検討、議論を行っていく必要があるというふうに考えています。ところが、現在の検討されております地方自治法の改正につきましては、このような地方に対する必要な説明、あるいは何よりも大事な、このような重要改正をする場合に必要な、適正な、幅広く意見を聞くという手続、いわゆるデュー・プロセスが行われていないという唐突な提案でございます。したがいまして、私どもは全国知事会といたしまして、昨年十二月に地方の実態をよく踏まえた慎重な検討を求めるという意見書を提出しておりますが、この立場は変わっておりません。 5 ◯議長(田中 秀子君) 杉光教育長。 *教育長答弁 6 ◯教育長(杉光 誠君)登壇 まず、少人数学級の取り組み状況及び定数増についてでございますが、本県の公立小中学校では、国の標準であります一学級四十人を基本としながら、市町村の主体的判断によりまして、国の加配定数や市町村ごとに配当をいたしました定数を活用するなどの方法によりまして、五十の市町が少人数学級に取り組んでおるところでございます。なお、本年度の小学校第一学年では、これらの取り組みを含めまして千六百十一学級中、千五百四十六学級が三十五人以下となっておりまして、実態としては多くの学校で三十五人以下学級となっておるところでございます。  また、来年度、小学校一年生で少人数学級が実施された場合、国の標準に基づけば、本県では百九十人程度の定数増が見込まれておるところでございます。  次に、少人数学級の効果及び今回の制度改正に対する所見でございます。少人数学級編制を実施しております学校からは、生活集団の少人数化により、学習規律が定着をしたなどの意見もあり、その観点からは一定の効果が認められると思っております。  なお、今回の小学校第一学年に限っての制度改正に関連いたしまして、次年度以降の取り扱いが未定であることから、学校運営や教室の整備計画などへの影響も懸念をされるため、今後の方針を明らかにするよう国に対し強く働きかけてまいりたいと考えておるところでございます。  少人数学級に伴います教員の確保及び今後の採用計画への影響についてでございます。来年度の少人数学級実施等に伴います教員の増加分につきましては、既に新規採用数が確定していることから、講師の任用により対応していくこととしております。今後の採用計画に関しましては、学級編制制度についての国の具体的な方針が示されておらず、将来的な展望が立たないため、制度改正による増加分を計画的に採用していくことが困難になるものと考えております。  最後に、児童生徒の安全対策についてでございます。県教育委員会では、これまでも安全確保に関する指針を策定し、各学校に対しまして、日常や緊急時の児童生徒の安全確保に対する取り組みを充実させるよう指導してまいりました。今後とも、児童生徒が被害者となる事件、事故はあらゆる場面において発生する可能性があるという強い危機感を持ち、早急に通学路の再点検を行うとともに、保護者や地域のボランティアなどの協力を得て登下校の見守り体制を強化するなど日常的、継続的な安全対策に万全を期してまいります。 7 ◯議長(田中 秀子君) 井上忠敏君。 8 ◯五十九番(井上 忠敏君)登壇 再質問二つと、一つは要望をさせていただきたいと思います。  私は、自民党福岡県連の選考委員として、私どもが推薦する知事候補に、我が県議団、自民党会派、藏内勇夫会長を選任しました。しかしながら、知事は別の候補を、一昨日、正式に後継者として支持表明されておるようです。このことは、あたかも、かつておられた経済産業省から要請があったための結果ですか、それとも、あなたのほうから経済産業省に話しかけられたのですか、明確にお示し願います。  次に、知事は、知事みずからが民主党県本部に対して、あなたが支持を表明された方の推薦を取り下げてもらいたい旨電話を入れられたと伝わっております。このことについて、もし事実ならば、これは大変、大変な選挙介入であり、到底看過が許されることではありませんので、事実関係を明確にお示し願います。  三番目の要望でございますが、知事は農業問題のTPPに関する発言の報道についてのお答えの中で、農業をしっかりと保護し、成り立っていくという政策がつくられ、実行されることが大前提であると述べられました。今の政権で、そういう政策がつくられ、実行されることがお約束できますか。あり得ません。冗談じゃありません。そしてまた、世界貿易の中で生きていくためには通商国家であることから自由貿易が大切であると回答されました。確かに、日本の国は原材料を仕入れて、そして加工、付加価値をつけて外国に売らないと生計が立たないのも、よくわかります。しかし、その前に、日本の国は豊葦原の瑞穂の国です。千年以上にわたって我々の先祖が今日の基礎を築いていただいております。通商国家である前に、私は、しっかりと農業を守っていかないと、そういう仕事すらできないと思います。私は、難しい理論はわかりません。しかし、古来、政治の要諦は食料と水の確保、それを諸先輩はやってきていただいたと思っております。そして、社会的な弱者を政治の力で不公平感をなくしていく、これが我々政治家に課せられた最大の使命だと思っております。 9 ◯議長(田中 秀子君) 井上忠敏君に申し上げます。発言時間を超過しておりますので簡潔にお願いいたします。 10 ◯五十九番(井上 忠敏君)(続) ともかく、知事と、この議論は平行線をたどると思いますが、新しい知事とそのことを踏まえながら、皆さんとも議論をしながら、何とか農業を守る手だてを、私は考えていただきたいと思っております。  以上で質問を終わります。(拍手) 11 ◯議長(田中 秀子君) 麻生知事。 12 ◯知事(麻生 渡君)登壇 私のほうは、小川洋さんを支持するということを表明いたしました。その場合に、御質問にありましたように、経産省から頼まれたりしたことはあるのかということでありますが、それはありません。私独自にいろんな、小川さんばかりじゃありません、ほかの考えられる方々も、いろいろ比較しながら、このような結論になったものでございます。  それから、小川さんが広く県民党の立場で経済界の支援なども受けながら活動していくという方針でおりますが、その過程におきまして、いろんな課題にぶつかっておるということがございました。これらにつきましては、私で役立つところは積極的に役立っていこうという考え方で活動をしておるという状況でございます。 13 ◯議長(田中 秀子君) 知事に申し上げます。一部答弁漏れがあるようですので、再度答弁をお願いいたします。  麻生知事。 14 ◯知事(麻生 渡君)登壇 民主党の方に対しましても、それぞれの状況下におきまして、どのような課題にぶつかっており、どのような困難な問題であるのかということを理解を求めるというための活動は行っております。 15 ◯議長(田中 秀子君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時三十分といたします。           午 後 零 時  十九分  休 憩           午 後 二 時  十一分  再 開 16 ◯副議長(林 裕二君) 再開いたします。 *発言の措置  本日の発言の一部について、後刻速記を調査の上、適切に措置いたします。  休憩前に引き続き代表質問を行います。発言を許可いたします。吉柳順一君。(拍手) *吉柳議員質問 17 ◯三十四番(吉柳 順一君)登壇 民主・県政クラブの吉柳順一です。会派を代表し、質問をいたします。  ことしに入り、宮崎県と鹿児島県の県境にある霧島連山の新燃岳が、五十二年ぶりと言われる火山活動を始めました。今月に入ってからは、爆発的な噴火が起きるなど活発な火山活動が繰り返されており、火口周辺の広い範囲では、火山灰などにより住民の健康や生活にも深刻な影響が出始めていると聞いております。とりわけ宮崎県については、昨年の口蹄疫被害に続き、ことしに入ってからは鳥インフルエンザ被害が発生する最中での出来事であり、不安の中で毎日を送る住民の方々にお見舞い申し上げますとともに、新たな災害につながることなく、火山活動が一日も早くおさまることを切に願っております。  鳥インフルエンザに関して、本県では、今月から消毒薬の無料配付の実施と監視体制の強化が図られており、こうした知事のいち早い対応を評価するとともに、防疫に万全を期すよう要請しておきます。  さて、今議会は任期最後の議会であり、これから行う質問も会派の四年間の活動を締めくくる質問となります。知事並びに教育長が、このことを真摯に受けとめ、熱意と誠意を持って答弁されることを期待し、早速質問に入ります。  初めに、県政推進の基本姿勢についてお尋ねをいたします。今世紀最初の十年が終わり、次の十年が始まる年を迎えました。国際通貨基金(IMF)は、ことしの世界経済の成長を四%程度と見込んでおり、世界経済は、リーマンショックに端を発した世界的金融危機と戦後最悪の不況から脱し、緩やかな景気回復が続いていると言われております。これは世界主要二十カ国(G20)が協調して行った財政出動や金融緩和など、政策の総動員が功を奏した結果であると考えますが、その後、本格的な回復に向かうと期待されていた世界経済は、ギリシャから始まった財政危機問題が新たな金融不安を広げ、ヨーロッパやアメリカの成長を減速させるなど、景気の先行きに不安を与えています。一方で、中国やインドを初めとする新興国は高い経済成長を維持しており、昨年末に出されたIMFの調査報告では、世界経済は低成長の先進国と高成長の新興国による二極化が、ことし以降も続くとの見通しを示すとともに、世界経済の健全な回復には不均衡の是正が引き続き欠かせないとの見解を示しています。国内経済もまた、大規模な景気対策と中国などのアジア経済の成長による外需拡大が一時的な追い風となり、二〇〇九年の春ごろには好転の兆しを見せたものの、昨年秋ごろからはエコカー減税、補助金の終了などと、円高による外需の息切れ状態となり、本格的な回復への手がかりをつかめないまま、景気の足踏み状態が続いております。  このように長く景気の低迷が続く中で、我が国は労働力人口の減少が始まっており、将来にわたる経済、社会への影響が懸念をされます。またこれに加え、たび重なる景気対策は財政事情を悪化させ、年金、医療、介護を初めとする社会保障制度への不安を招いており、強まる閉塞感を打破するためにも、しっかりとした経済政策を確立することが強く求められていると思います。  そこで一点目は、労働力人口の確保の問題です。労働力人口の減少は、我が国の経済社会にマイナスの影響を与えることが予測できます。これを解決していくためには、将来的な労働力人口の減少を一定程度抑制していくことが必要であり、意欲と能力のあるすべての人が、生涯を通じ、仕事や地域への社会参加を行える社会を実現していくことが重要であります。とりわけ来年の二〇一二年からは、団塊世代が六十五歳に到達し始めることや、日常生活を自立して元気に過ごせる期間である健康寿命も、二〇〇二年時点で男性が七十二・三歳、女性が七十七・七歳まで延びていることを考えると、高齢者の能力を生かすための取り組みを早急に進める必要があると考えます。  こうした中で、本県では高齢者が健康で生き生きと働き、活躍できる七十歳現役社会特区を目指す取り組みを進めています。厚労省は、高齢者への就業支援策により、国内で約九十万人の労働市場への参加が見込まれるとしており、労働力人口の確保の点からも、知事の提唱する七十歳現役社会づくりの取り組みを評価したいと思います。この取り組みのため、県では研究会を設置するとともに、これまで六回の審議を行い、先日、報告書が知事に提出されたと聞いております。そこで、研究会における審議経過の概要と、本県が目指す七十歳現役社会とはどのようなものになるのか、知事にお聞きいたします。  二点目は、今後の社会保障制度のあり方とその財源についてです。政府は、今後の社会保障制度のあり方と、そのために必要な財源について、一体的な改革を行うための議論をスタートさせました。政府案は六月までに取りまとめられると聞いていますが、それに先立ち、まずは社会保障のあり方を提示するとの考えも示されており、国民生活に直結する重要な問題であるだけに、政府案が早急に示され、幅広い国民議論が行われることを期待します。  これまで、我が国の社会保障と税のあり方は、中福祉、中負担を追求していくということで、国民的な合意がなされてきたと思いますが、今後の社会保障と税のあり方については、地方財政にとっても非常に重要な意義を持つと考えます。このことについて、知事はどのような見解を持っているのかお聞きします。  三点目は、経済成長と財政再建との関係についてです。昨年トロントで開かれたG20は、成長に配慮した財政再建を目指すという目標で合意したと聞きます。経済成長を優先するのであれば、財政は公共事業をふやしたり、減税を打ち出す方向に向かいますが、逆に財政再建を優先すれば、公共事業を切り詰めたり、増税の敢行も視野に入れなければなりません。我が国においても、経済成長と財政再建の二律背反の前で、政策に手詰まり感が出ているように思えてなりません。知事は四月に退任されますが、我が国の経済の現状から、経済成長と財政再建との関係をどのようにとらえ、この問題に対応すべきと考えているのか、この際、あえて経済に造詣の深い知事に見解をお聞きいたします。  次は、経済成長を図る上で重要な科学技術の振興についてお尋ねします。経済が成長するには、労働力人口の増加、資本蓄積の増加、それに技術進歩による生産性向上の三つの要素があると言われています。このうち労働力人口に関して言えば、国は高齢者、女性、若年者への就業支援策によって約三百四十万人の増加が見込まれるとしていますが、これが実現したとしても、二〇三〇年には二〇〇九年の約六千六百万人よりおよそ四百二十万人少ない約六千百八十万人に減少すると予測されています。また、資本蓄積に関しては、高齢化が進行する中で、国民貯蓄率は一九八〇年の二二・七%から二〇〇七年は七・〇%にまで減少しており、我が国ではこの間、国内貯蓄の増加分のほとんどが国内投資に振り向けられてきたことから、資本蓄積も鈍化することが想定されます。こうしたことから、今後の経済成長にとっては、技術進歩による生産性向上の動向が重要な意味を持ち、とりわけ科学技術への投資が重要なかぎを握ると考えられます。昨年末、政府は来年度予算案で科学技術振興費の増額を閣議決定しましたが、これは科学技術振興を中長期的な成長戦略の一つとして重視したものと理解しています。  ところで、科学技術への投資には不確実性が大きく、また市場任せにしたのでは過小になりがちであることから、国や自治体が投資を支援することは当然のことだと思います。ところが、どのような科学技術に投資すれば技術が大きく育つのか事前評価することは困難であり、予算措置としては広く薄く配分する選択肢をとらざるを得ないと言われています。しかし、このことによって、国レベルでは、例えば一九六五年から始められた地震予知研究のように成果が期待できないまま、いつまでも多額の予算が投入され肥大化した事例や、逆に太陽電池パネルの研究のように、せっかく世界で優位に立っていた研究が、支援の縮小によって、ドイツなど海外の研究に逆転されるといった事例が起きていると聞きます。そのため科学技術への支援については、適切な中間評価を行い、成果があらわれ始めたところに集中的に予算を投入することが重要だと言われています。
     そこで一点目に、総務省の統計によると、二〇〇八年度の我が国の科学技術研究費は、GDP比三・七八%に当たる約十八兆八千億円で、この内訳は民間によるものが八一・九%、国、地方公共団体によるものが一七・八%となっています。また研究費の性格別の支出割合としては、基礎研究費一三・七%、応用研究費二三・四%、開発研究費六二・九%となっており、企業では開発研究の割合が高く、大学などでは基礎研究の割合が高くなっていると言われています。科学技術研究費総額に占める基礎研究費の割合は小さく、我が国の科学技術研究が、基礎研究に力点が置かれていないと指摘される理由がわかります。したがって、当然国、地方公共団体の科学技術研究支援における役割は基礎研究に力点が置かれるべきだと考えます。そこで、科学技術研究支援に対する知事の基本的な考えをお聞きします。  二点目に、本県では先端産業の振興に向けた水素エネルギーや、バイオなどの研究分野を初め、科学技術に対する積極的な予算措置が行われてきています。そこで、対象とした具体的な分野やおよその投資額などを含め、麻生県政のもとで行われた科学技術に対する支援の概要とその成果についてお示しください。  三点目に、さきに述べたように、どのような分野へ予算措置するのかを決定する際に、事前評価が困難であるとすれば、中間評価を適切に行うことが重要となってきます。国の事業仕分けは、その好例と言え、さらに時間をかけて、より充実したものになることを期待しています。そこで、本県における科学技術への投資について、予算の新規採択や継続及び集中的な投入が、どのような評価のもとで行われているのか、その仕組みについてお聞きします。  四点目に、科学技術に関しては、若手を中心とする人材の流出や空洞化の問題も指摘されています。この背景には、研究費の問題や若手研究者の就職などの問題もありますが、抜本的な解決に向けては、科学技術振興のための人材の育成と同時に科学技術に対する国民の理解と支持を高めていく必要があり、そのために教育の果たす役割が大きく期待されています。しかし、十年ほど前から教育分野では理科離れと言われる現象が起きており、小中高と学校段階が上がるにつれて、その傾向が強くなると聞いています。  そこで、この際教育長にお尋ねします。第一に、科学技術に関するすぐれた人材は一朝一夕に形成されるものではなく、小中学校段階からの地道な教育努力が不可欠であると考えますが、理科離れが進む中で、県内の小中学校の現場ではどのような対応が行われ、問題の改善はどのように進んでいるのかお聞きします。  第二に、このことに関連し、特に高校生の物理の履修率は最近急速に低下していると聞きますが、高校で物理を履修しない場合、エンジニアになるという職業上の選択肢を狭めると言われています。我が国は、物づくりで世界と競争を続けていく立場にありますが、物づくりにとってエンジニアの存在は不可欠であり、高校生の物理の履修率が低迷している問題は、人材確保の上から大変危惧されます。  そこで、全国的に物理の履修率は二ないし三割程度と聞きますが、本県の県立高校での物理の履修が、近年どのような状況にあるのか、また物理の履修の低迷に対する教育長の所見と、この問題にどのように対処しようと考えているのかお聞きいたします。  次に、県内で暮らす外国人に対する施策の充実に関しお聞きします。私は平成十五年、県議会議員に初当選後の六月議会で、この地で暮らす在日コリアンの方々との共生について質問をさせていただきました。この間、本県ではグローバル時代の到来とともに、アジアとの共存を視野に入れ、一九九七年以降ふくおか新世紀計画をもとに県の施策が進められ、国際化の進展とともに福岡県内の外国人登録者数も年々増加しています。この新世紀計画で描いた福岡の将来像の中で、国際化の進展に伴い、歴史的な経緯を持つ在日韓国・朝鮮などの人々に加えてブラジルやペルーなどからの日系人、外国人留学生、ビジネスマンなど、県内に定住する多様な文化や価値観を持つ人々がともに生きる開かれた地域社会を実現すると宣言されています。県においては、外国人の方が快適な生活を送れるよう、留学生サポートセンターの設置や相談窓口の開設、外国語による情報提供等のさまざまな施策が行われてきた一方で、県内で暮らす外国人の方からは、日本に来て何年もたつが避難訓練をした経験がない、公民館でどういうことが行われているのかもわからないとの声もあり、施策のさらなる充実を図る必要があると考えます。  さらには、特別永住者に対する地方参政権の問題については、国論を二分する意見があることは承知していますが、少なくとも県民として暮らす外国籍の方からも県行政への意見を聞くことができる仕組みづくりは必要であると考えます。  そこで一点目に、ふくおか新世紀計画の第三次実施計画の中で、福岡県内で暮らす外国人の方々の人権を擁護するとともに、優秀な外国人の能力を地域で生かすため、国際化政策懇話会外国人部会を活用し、外国人の意見やアイデアを行政施策に反映するとされています。しかし、この外国人部会は二〇〇三年に設置されていますが、二〇〇五年には実質的な活動を停止しており、第三次実施計画の中に明記されているものの、第三次実施計画の開始年度の二〇〇六年度には、既に実質的に廃止された状態になっています。そこで、外国人部会設置の目的及び廃止の理由をお聞きします。  また、こうしたことで、本県が国際化の推進に取り組んでいると果たして言えるのか大きな疑問を持ちますが、このことについて知事の所見をお聞きします。  二点目に、「アジアの、福岡あたりが面白い。」と銘打たれたふくおか新世紀計画も二〇一〇年をもって一つの区切りを迎えました。国際化が進展する中で、福岡県の各地域で県民としてともに暮らす外国人の地域社会への参画を推進し、多文化共生社会をしっかりと実現させていかなければならない時期でもあります。例えば、神奈川県においては、外国籍県民かながわ会議設置要綱を定め、外国籍県民の県政参加の推進、ともに生きる地域社会づくりが積極的に進められています。本県においても、地域で暮らす特別永住者を含む外国籍の方々の意見を行政施策に反映する仕組みの確立について、年次計画等による過渡的な施策ではなく、県の基本的な方針として定めるべきであると考えますが、知事の見解をお聞きします。  三点目に、この際、外国人の研修、技能実習制度に関してお尋ねします。この制度は、我が国で開発され、培われた技能、技術、知識を発展途上国に移転することを目的にしていますが、研修生、技能実習生を受け入れる機関や事業所などが、制度の趣旨に反し、実質的に研修生や技能実習生を低賃金労働者として劣悪な労働環境で働かせ、また賃金の未払い問題を起こすなど、他県での悪質な事例が報道されています。このため国は、技能研修中の研修生、実習生については、労働基準法の労働者として労働法規を適用するよう昨年七月に入管法を改正しました。そこで、本県の外国人研修生、技能実習生の受け入れの状況と、労働相談や生活相談など技能研修中の研修生、技能実習生へのサポート体制がどのようにとられているのかお聞きいたします。  次に、若者の雇用をめぐる問題についてお尋ねします。ことし一月の厚生労働省の発表によると、今年度の大学卒業予定者の就職内定率は、昨年十二月一日現在で六八・八%となっていますが、これは一九九六年度の調査開始以来、過去最低の水準であり、新卒者の厳しい状況が続いています。また、高校卒業予定者についても、同じく昨年十二月一日現在の内定率が七〇・六%となっています。これは昨年同期から二・五ポイント上昇しているものの、一昨年度と比べると七・四ポイントのマイナスとなっており、高校卒業予定者についても厳しい状況であることに変わりなく、一九九三年ごろから二〇〇五年ごろにかけての就職氷河期、超氷河期が再現されようとしていることを大変危惧します。  我が国の雇用市場は、一九九〇年代に入り大きく変貌しました。そして特に、その影響は若者の雇用に関し顕著にあらわれています。一九六〇年代から、我が国では新規学卒一括採用という慣行が幅広く広がり、新規学卒者は教育機関を卒業すると、大半は正規労働者として採用され、長期雇用のもとで安定的な職業生活を送ることができるというのが常識とされてきました。この背景には、企業側に新卒の若年労働者に対する需要が高く、若者を卒業と同時に企業が採用し、時間をかけて育てるというやり方が可能であったことがあります。しかし、バブル経済崩壊後の不況下で、企業側にこのような余裕がなくなったことから、新規学卒一括採用という日本的雇用慣行は否定され、正規労働者の削減と非正規労働者の増員を日本企業全体が志向することになり、これまでの常識は、もはや通用しなくなってきています。このため、教育機関を卒業した後に正規労働者として採用されず、卒業後に低賃金で不安定な仕事につかざるを得ない若者が膨大に出現するようになっており、二〇〇八年時点では在学生を除く十五歳から二十四歳までの若年者のうち、男性では二八・六%、女性では三五・四%が非正規労働者となっています。また日本の労働市場は、卒業時に正規労働者として採用されなかった若者の場合、その後のキャリア展望が極めて閉ざされがちになる硬直的な労働市場を形成しており、卒業時に正規労働者として採用されるか、非正規労働者となるかによって、例えば男性の非正規労働者の場合には、家族をつくることが困難であるといったことなど、卒業後の社会生活そのものにも大きく影響が出ています。他方、企業にとっても、長期不況下での新入社員の採用削減や、若年層に対する人材育成機能の低下により、技術の継承に困難を来すなど、将来の経済成長にも影響するような人的投資の不足につながる可能性も懸念されています。  そこで一点目に、さきの厚労省の調査では、昨年十一月末時点で、本県のことし三月高校卒業予定者の内定率は六四・二%となっています。これは全国平均よりも六・四ポイント低く、都道府県別では全国で七番目の低さとなっており、本県での就職状況の厳しさを深刻に受けとめる必要があると思います。三月の卒業時までに余り時間はありませんが、新卒者が社会に出る第一歩で失業を経験することなく、意欲と能力を生かせる安定した職業につけるよう特段の就職支援を行う必要があると考えますが、どのような支援策を講じていくのか知事の考えをお聞きします。  二点目に、我が国の場合、これまで新卒者とみなされる対象は、卒業直後であることが条件のように扱われてきましたが、一たん卒業すると新卒枠への応募機会が極めて限定されるため、正規労働者として就職することが困難になり、このことがフリーターなどとして労働市場に滞留する原因となってきました。こうしたことから政府は昨年十一月に、学校卒業後少なくとも三年間は新卒採用に応募できるよう青少年の雇用機会の確保指針を改正するとともに、主要経済団体に対し、既卒三年以内の未就業者に対し採用試験などで新卒と同様の対応を行うことを要請しています。これに合わせ、本県の一部の企業でも既卒者に門戸を広げる動きが出ていると聞いていますが、さらに県内の企業に、指針改正の趣旨の徹底を図る必要があると考えます。そこで、指針改正に伴って本県ではどのような対応がとられているのかお聞きします。  三点目に、昨年、財務省のシンクタンクが経済社会の基調的な変化と題する報告書をまとめています。これは二〇〇四年に政府の税制調査会がまとめた我が国経済社会の構造変化についてという報告書を踏まえ、それを今日時点で更新したものとされています。このうち雇用に関しては、二〇〇四年に報告された働き方の多様化が、今日では正規労働者と多様な非正規労働者との分断問題を顕在化させており、格差の固定化につながるばかりでなく、将来の経済に影響するような人的投資の不足につながる可能性も懸念されていると警鐘を鳴らしています。  この問題について我が会派は、働き方の多様化は結局、多様な非正規雇用を増加させることにつながり、貧困と格差の拡大、固定化を生むと、議会の中でも幾度も指摘してきました。これは、この問題をめぐって、知事と私たちの間で現状認識に大きな違いがあるからにほかなりません。最も新しいものは、一昨年二月議会での代表質問になりますが、ここでも知事は、高齢化の進展、女性の社会進出などを理由に、多様な働き方を選択できるようにしていくことが非常に大切と、答弁で持論を述べています。しかし、二〇〇三年の厚労省の就業形態の多様化に関する総合調査では、企業が非正規労働者を採用する理由の第一は賃金の節約のためであり、続いて業務の繁閑や景気変動に応じて雇用量を調整するためなどとなっており、就業形態の多様化が進む理由について、知事の持論とは全く違う調査結果が出ています。働き方の多様化が進むことによって、正規労働者としての働き方を選択することが狭まり、県内でも特に若い女性を中心に、生活のために非正規労働者として複数の仕事をかけ持ちせざるを得ないという声を多く耳にしますが、これは知事の持論とは全く異なった現実を示しています。  そこで、この問題について知事にお尋ねするのはこれが最後になると思いますが、知事は県内の雇用の現状を見て、この現実に対しどのような見解を持っているのか、率直に現実を見詰め、この問題にお答えください。  四点目に、本県では二〇〇九年度から、就職氷河期に学校を卒業した年長フリーターなどの非正規労働者の正規化に向け、三十代チャレンジ応援センター事業を取り組んでいますが、センターの事業内容と実績を具体的にお示しください。  五点目に、この際、今回提案されている来年度の暫定予算案についてお尋ねします。知事は四期目の公約の中で就職氷河期に卒業した若者に触れ、若者たちが意欲や将来への自信を持てる職業につけるよう思い切った支援策を実行すると約束され、具体的な支援策の第一に、若者しごとサポートセンターの就業支援の充実を挙げています。しかし、前回の就職氷河期を超えるような深刻な事態も予想される中で、今回議案説明でも触れられた若者しごとサポートセンターの事業費を見ると、新規事業も盛り込まれてはいるものの、これが果たして知事が約束した思い切った支援策と言えるのか、大いに疑問を持ちます。そこで、今回の暫定予算案に計上された若者しごとサポートセンター事業によって、知事はどれくらいの就職を見込んでいるのか、また自身の公約に照らし、これで十分だと考えているのかお聞きをいたします。  次は、教育長に、特に若者をめぐる労働と教育との関係についてお尋ねをいたします。二〇〇八年版労働経済白書は、内閣府の調査などから、日本では学校に通う意義として職業的技能を身につけるためと思う者の割合は、先進国で最低の水準にあると指摘しています。このことから企業の人材育成機能を含めた新規学卒一括採用という雇用慣行の中で、教育機関は生徒たちを企業へ受け渡すだけの役割にとどまり、働くことに関する教育は、専ら企業に任されてきたと言うこともできると思います。しかし、卒業と同時に大半が正規労働者として企業に採用されるという雇用慣行が崩れ、若者を取り巻く雇用環境が大きく変化していることは、それに応じて学校教育が担うべき役割や責任もまた変化していることを意味しており、特に、これまで企業に任されてきた働くことに関する教育の役割が、これまでに比べると格段に学校教育に求められることになったと言えます。  そこで一点目に、児童生徒はいずれ、そのほとんどが学校教育から職業生活へと移行しますが、生徒たちが卒業後、意欲と能力を生かし、安定した職業生活を送るため、学校教育に対してはどのような役割が求められていると考えているのか、教育長の基本的な考えをお聞きします。  二点目に、文科省の調査によると、昨年三月末時点で、全国の公立高校新卒者の学科別就職率は、普通科八六・四%、工業科九七・四%、商業科九三・七%、総合学科九一・五%となっています。また、教育学者らで構成する日本教育学会が、二〇〇五年に高校を卒業した生徒の二〇〇八年時点での就業形態を調査していますが、これによると、正規労働者として就業している者の割合は、専門高校卒業の場合が六四・二%であるのに対し普通高校卒業の場合は四一・八%、非正規労働者として就業している者の割合は、専門高校卒業の場合が二三・五%であるのに対し普通高校卒業の場合では四六・八%となっており、これら二つの調査結果を考え合わせると、現在の雇用、労働状況が、特に普通高校の就職希望者に対し厳しい状況にあることが考えられます。普通高校では職業教育が行われないため、就職を希望する生徒が職業に関する知識や技能を身につけないまま社会に送り出されているのではないかといった危惧を抱きますが、このことについて教育長がどのように考えているのか、また普通高校では就職希望者を職業生活に移行させるためにどのような教育が行われているのかをお聞きします。  三点目は、労働関係法制度に関する教育についてです。非正規労働者の増加、就業形態の多様化、また正規労働者についても労働時間の長時間化が進んでいることなどから、職場でのトラブルが全国的に増加しています。本県の労働者支援事務所が行っている労働相談についても、昨年度の相談件数は一万件を超え、今年度上半期も六千件近くに達しています。相談内容は解雇、賃金、労働時間などの問題が上位を占めていますが、これらの問題をめぐっては、違法な行為の蔓延を指摘する声や、違法な処遇に対して就業形態を問わず、特に若い労働者が、いわば泣き寝入りの状態に置かれていると指摘する声が多く聞かれます。これらの背景には、労働関係法制度をめぐる知識や労働者の権利に関する知識が十分に行き渡っていない現状があると思います。  こうしたことから、厚労省内に、今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会が設置され、報告書案がまとめられましたが、ここでは、このような状況を改善するための教育の重要性が指摘され、学校教育の段階で労働法の基本的な構造や考え方を提供することが現状の改善に有効であると提言されています。労働関係法制度を知ることは、労働者にとってはみずからの生活を守るために、使用者にとっては円滑な企業経営を確保するために、重要な要素であると考えます。  そこで現在、学校現場で労働関係法制度に関してどの程度の時間が充てられ、どのような内容の教育が行われているのかお聞きします。  また、雇用、労働をめぐる社会情勢の変化を踏まえると、労働関係法制度に関する教育の充実を図る必要があると考えますが、このことに対する教育長の考えをお聞きいたします。  四点目は、社会情勢の変化を踏まえた今後の高校教育のあり方についてお聞きします。我が国の戦後の高校教育は、普通教育と専門教育をあわせ持つ総合制の原則を重視してスタートしたと聞いています。その後、五〇年代から六〇年代を通じ、生徒の急増と労働力需要の拡大に合わせ専門高校の独立と拡充が進み、七〇年代に入ってからは産業構造の変化と、これに柔軟に対応する必要から、専門高校を再編するなどの経過をたどり、現在のような編成になったと聞いております。このように高校教育と労働との間には関係性があると思います。本県では、一九九九年の福岡県県立学校教育振興計画審議会(県教審)の答申、社会の変化に対応した県立高等学校教育の総合的な振興方策についてに基づき、県立高校の再編整備を行いましたが、答申では社会変化の中でも若者にとって重要な雇用環境の変化について着目されておりません。学校教育は、仕事の世界に向けて若者を準備させるという重要な役割があると考えます。若者を取り巻く雇用環境の著しい変化を踏まえ、キャリア教育や労働関係法制度に関する教育を含め、これまで見落とされてきた雇用、労働に着目した高校教育のあり方について県教審に諮問すべきだと考えますが、このことに対する教育長の所見をお聞きいたします。  次に、筑豊地域の活性化、特に企業立地についてお尋ねします。私は、一昨年の九月議会の一般質問で、福岡経済同友会及び同筑豊部会が提言した交流人口の拡大で筑豊再生を、日本近代化の原点、近代化産業遺産を生かした観光まちづくりで、観光を視点とした筑豊活性化について質問をいたしました。今回は、企業立地に焦点を当てた筑豊地域活性化について質問をいたします。  この問題については、我が会派の冨原議員が昨年六月議会の一般質問で、筑豊地域の企業誘致について質問を行っています。このとき知事は、自動車産業も回復の路線に乗り、先進的な生産技術の開発支援、人材の育成に努め、企業の立地が活発に行われるよう活動していく、筑豊地域への自動車関連の産業誘致について、ようやく投資の再開の機運になってきた、積極的な企業誘致を行い、また雇用を確保していきたいと答えています。  筑豊地域では、飯塚、直方、中間、嘉麻、田川の五市会議において意見交換などを行い、企業誘致に積極的に取り組んではいるものの、平成二十一年度の筑豊地域への企業誘致件数はゼロ件であり、なかなか企業誘致が進まない状況にあります。また、地域での雇用を担ってきた暫定就労事業については平成二十二年度で、産炭地域活性化基金は平成二十三年度で打ち切りとなっており、新たな雇用の場の確保は急務であります。また、知事も御承知のとおり、筑豊地域の有効求人倍率に示されるとおり、雇用状況は県内四ブロックの中でも常に低位にある状況にあります。そういったことからも、旧産炭地域における県の企業誘致施策については、特段の配慮が必要ではないかと考えます。また、企業誘致の推進に当たっては、県と筑豊地域の自治体と一体となった取り組みが必要と考えますが、筑豊地域の企業誘致に向けての県の対応についての考えを、あわせてお尋ねいたします。  最後に、知事は旧通産省出身ということもあり、知事就任以前から筑豊、旧産炭地域の事情に精通し、この地域に対する思いも殊さら強く、知事就任以来今日まで筑豊地域の振興のため精力を注いでこられたと認識しております。筑豊地域に関連した麻生県政の実績としては、篠栗線の電化、ギガビットハイウエーの敷設とIT関連産業の拠点化推進、筑豊農業の活性化などが挙げられますが、依然として雇用を初め生活インフラの整備などの問題が残されています。そこで、知事は県政を担当したこの十六年間の筑豊地域の変化を、知事自身どのような思いで見てこられ、現在の筑豊地域の実情をどのように受けとめられているのかお聞きいたします。  また、知事は今後の筑豊地域の発展の可能性と展望について、どのような見解を持っているのかお聞きいたします。  最後に、この際、次の二点について知事にお尋ねいたします。  一点目は、先日二月七日、福岡高裁で出された判決についてであります。この裁判は、飯塚市の産廃処分場の周辺住民が、有害な廃棄物の撤去を怠り放置しているのは違法として県に廃棄物の撤去を求めていたものでありますが、判決は一審の福岡地裁判決を取り消し、住民の生活を重視する立場を明確にするとともに、県に対しては業者にかわって違法な廃棄物を撤去することも含む対応を求めております。  私は、この問題を一審判決の出た直後の二〇〇八年の二月議会の一般質問で取り上げ、住民の安心、安全の確保のために、この問題を放置することなく、行政代執行も視野に入れた何らかの具体策を講じるべきとの考えを述べました。これに対し知事は、違法な産廃の埋め立てはないとの判断を示すとともに、生活環境の保全上重大なおそれがあるとは考えてはおらず、産廃の撤去が必要な状況にあるとは考えてはいないとの答弁を行っています。しかし、今回示された高裁の判決は、周辺住民の生命や健康に損害を生ずるおそれがあるとし、これまで違法な廃棄物を放置してきた県の対応を裁量権の濫用と厳しく指摘しています。  そこで第一に、今回の高裁判決を知事がどのように受けとめられているのかお聞きします。  第二に、住民の生命や健康を守る立場から、また十年にも及ぶ県と住民との争いに終止符を打つためにも上告は行わず、県としてこの問題に誠実に対応すべきですが、このことについて知事のお考えをお聞きします。  二点目は、次期知事選をめぐる知事の行動についてです。知事は、昨年の九月議会で、五選目に出馬すれば多選となることなどを理由に、今期限りで退任することを正式に表明しました。また、その後の記者会見などにおいて、このタイミングで退任を表明したことについて、次期候補者選びに配慮したこと、後継指名は考えていないことを明らかにしています。我が会派は、この知事の潔い決断を評価するとともに、知事の退任表明を新しい県政づくりへのメッセージと受けとめ、この間県政の一翼を担う責任ある会派として、所属政党とともに、次期県政に向けて行動してきました。ところが知事は、主要政党、主要会派での候補選考の議論が進む中で、立候補の意向を表明している複数の人物の中の特定の人物を、あいさつ回りに同行するなどの行動を通じ応援するとともに、二月八日には具体的な氏名を挙げ、支持する考えを示しました。  そこで一点目に、これは麻生知事の次期県知事実現に対する強い気持ちのあらわれと思いますが、後継指名はしないとしていた御自身の発言との明らかな矛盾についてどのように説明されるのかお聞きします。  二点目は、知事の現在の言動が、次期政権に知事の影響力を残し、知事のかいらい政権、院政のような状況をつくり出し、県政をゆがめることになるのではないかという心配です。これこそ多選の弊害との指摘もあります。知事は、この間の自身の発言や行動が、次期県政に与える影響についてどのように認識しているのか、お考えをお聞きします。  以上で質問を終わります。(拍手) 18 ◯副議長(林 裕二君) 麻生知事。 *知事答弁 19 ◯知事(麻生 渡君)登壇 七十歳現役社会づくり研究会におきます審議の経過でございます。この七十歳現役社会づくりでありますけれども、これは少子、高齢化によりまして、今後生産年齢人口が大きく減少をしてまいります。社会保障制度を維持するための現役世代の負担がふえ続けるということになりまして、我が国の社会的な保障制度が成り立たなくなるということを恐れているわけであります。また一方で、現実の高齢者は元気で、非常に能力が高い、また働きたい、社会貢献をしたいという意欲にあふれております。このため社会の活力を維持していくという方策を検討するために、この研究会を昨年の六月に設置いたしました。  研究会では、高齢者が「いきいきと働くことができる仕組みづくり」、もう一つは、「共助社会づくりへの参画」という二つの大きな柱を立てまして、必要な施策、年金、税制などの現行制度の問題点、意識改革の必要性、施策の推進方策について議論をいただきまして、報告書を提出していただいたところでございます。この審議の過程におきましては、これは全国的にもいろんな形で反響を呼んでおります。いわば日本全体の課題でもあるということでございました。国会議員の先生、あるいは有識者を招いた研究会を東京でも開催するということを行ったわけでございまして、全国に向けて本県の取り組みを発信するというやり方で進めてきたところでございます。  本県はどのような七十歳現役社会を目標とするのかということでありますが、これは一言で言いますと、六十五歳からは高齢者であるというような意識を改めまして、七十歳になりましても、それぞれの能力に応じて働くことができる、また地域社会の重要な構成員といたしまして、NPO活動などで活躍ができる社会をつくろうという目標でございます。このことによりまして、先ほども申しましたけれども、持続的な経済発展、社会保障制度の維持、あるいは活力のある長寿社会が実現できると考えております。就業支援といった総合的な機能を持つ拠点づくりに、今後取り組んでまいります。また、特区を活用いたしまして、高齢者の就業を促進する税制、年金制度などの改善を図ってまいりたいと考えております。また、高齢者の培いました能力を社会に活用するという仕組みも重要であるというふうに考えているところでございます。また、このような取り組みは、近い将来高齢社会を迎えるアジア諸国の一つの大切なモデルになるのではないかというふうに考えているところであります。  社会保障と税のあり方でありますが、地方自治体、我々は、介護、高齢者医療、年金の、いわゆる高齢者三経費に対しまして応分の負担を行っております。また、加えまして、地域医療の確保、障害者福祉、子育て支援など、非常に幅の広い福祉行政、社会保障関係サービスを担っております。我々の推計では、地方分だけでも今後年々七千億円程度の歳出の増加が、この分野で続いていくというふうに推計をしているわけでございまして、これらの財源を将来にわたって安定的に確保していきますためには、税源の偏在性が少ない、あるいは税収が安定をしておる地方消費税の引き上げが必要であるというふうに考えております。  一方で、民主党が昨年十二月に発表しました調査会の中間整理では、消費税を財源とする社会保障の範囲でございますけれども、これが高齢者三経費を基本とするものであるということでございます。いわば地方が担っております幅広い福祉サービス、こういうものを対象にするという議論になっていないという点が、非常に大きな問題でございます。したがいまして、今後我々の地方行政が年金とか介護といった三経費のみならず、幅広い地方の福祉サービス、あるいは社会保障関係サービスを担っているという実態を広く訴えまして、地方への財源確保ということにつきましても、全国知事会の活動をさらに強く打ち出していきたいというふうに考えております。  財政再建と経済発展との関係でございます。日本経済は現在、現実には約十五兆円程度の、いわゆるデフレギャップ、需要不足の状態に陥っているというふうに推計されております。このような状況にございまして、民間部門、あるいは個人部門で、需要がすぐふえてこないという状況のもとにおきましては、引き続き財政による積極的な対応が必要でございます。これを怠りますと、再び激しい不況に陥ってしまうということになってしまうわけであります。現にバブル崩壊後、景気が回復基調にありました九〇年代の後半でありますけれども、財政再建を優先するという考え方のもとに、激しい歳出削減を行いました。その結果、直ちに景気の悪化を招きまして、税収が大幅に落ち込む、雇用も悪くなる、財政再建も成功しなかったという例がございます。したがって、この財政再建を考えます場合には、一つの非常に重要な要素は、何といいましても経済発展をしていくということが大事であります。財政再建を増税という非常に偏ったやり方で実行しようとしても、これはうまくいかない。むしろ景気は悪くなりまして、税収が落ち込み、かついろんな景気対策、雇用対策の支出がふえてしまうということになってしまうわけであります。また、歴史的に見ましても、財政再建問題が経済の発展と別な形でうまくできるという例は、私は知りません、ということでございます。したがいまして、我々が財政再建を考える場合には、やはり経済発展をしっかりさせていく、それと並行しながら消費税の引き上げも検討するという態度でなければいけないというふうに思っております。  科学技術の研究支援に対しての基本的な考え方でございます。我が国が、今後とも世界の中で発展をしてまいりますためには、科学技術立国ということが非常に重要な方向であるというふうに考えております。技術革新の源泉となる、そしてそれこそが我々の経済力の源泉であり、競争力の源泉となるわけでありますが、そのもととなります科学技術の振興は極めて重要でございます。そしてその場合には、大学と地域が積極的に取り組んでおります産学官連携、これが非常に有効な方法でございますから、この方法をうまく使うということが大切であるというふうに考えております。このような考え方のもとで、本県では、今後成長が期待できる戦略的産業分野におきまして、大学などの研究成果を産業界に移転する産学官連携システムを積極的に築いてまいりました。また、国の資金も積極的に導入、活用しながら、研究開発、人材育成、社会実証などに取り組んでいるところでございます。  このような科学技術政策の成果についてでございますが、我々は半導体、バイオ、あるいはロボット、水素といった分野におきまして、積極的に研究開発に取り組んでおります。二十二年度の研究開発費総額は産学官全体で六十八億でありますが、そのうち国から五十五億円の資金を受けまして、これを実行しているわけでございます。  成果の点でありますが、例えば半導体分野では二百社を超えますシステムLSI関連企業が福岡のほうに集積をいたしております。そしてまたバイオの面におきましては、約九十社のベンチャーができておりまして、特に世界的にも注目を集めております画期的ながん治療法の開発もずっと進んでおるという状況でございます。水素のほうでは世界最先端の研究開発を行っておりますが、同時に水素タウンを設けまして積極的に世界最大規模の社会実証を行っておるということでございます。このほか、ロボットなどの分野におきましても新製品、新技術の開発につきまして成果を上げておるという状況であると考えております。  県の研究開発事業の評価の仕組みについてであります。県が支援をいたしております研究開発事業におきましては、大学の先生方、民間企業の研究者といった外部の有識者によります審査会を設置いたしておりまして、テーマの選定時におきます事前の評価、目的達成状況を確認する中間、そして事後の評価を実施いたしております。これらの評価を通じまして、知的財産の確保、製品などの具体的な研究成果につなげている状況でございます。  国際化政策懇話会の外国人部会の設置の点についてでございます。この外国人部会でございますけれども、これは外国人と暮らす地域づくりの実現ということを目指して設置をいたしました。その後、この部会の意見を踏まえまして、アジア人材交流研究会を設置いたしまして、外国人が活躍できる環境の整備に関する検討を行ってきているわけでございます。このように新しい研究会を設けましたから、部会そのものは開催をいたしていない状況であります。  この研究会の意見に基づきまして、留学生サポートセンターの設置、多言語相談窓口の充実、日本語教室の開設支援などに取り組んでいるところでございまして、我々の地域の国際化に大きな役割を果たしているものと考えております。  特別永住者を含みます外国人の意見を行政施策に反映する仕組みを考えるべしという点についてでございます。これは、国際交流センターの相談窓口などにおきまして、県内で生活する外国人の皆さんの声を直接聞く仕組みにいたしております。また、市町村、NPOなどの外国人とかかわりのある団体とも意見交換を行っております。このような機会を通じまして、外国の本県在住者の皆さんの日常の生活につきましてのさまざまな意見を吸収しながら、外国人の皆さんとともに安心して生活できる環境づくりを進めてまいる考えでございます。  外国人の技能実習生の支援体制についてでございます。本県の場合には、中小企業の皆さんが組織する協同組合などによりまして、中国、東南アジアから約三千名の技能実習生を受け入れております。実習生に対しましては、外国人技能実習制度の指導、支援機関である財団法人国際研修協力機構によりまして、職場巡回相談のほか母国語によります電話相談などを実施いたしております。また、県のほうでは中小企業団体中央会を通じた受け入れ組合に対します指導、助言に加えまして、実習生の日本語能力の向上のための日本語作文コンクールや交流会を開催するといったきめ細かい支援を行っています。  雇用問題についてでございます。まず、高校の未内定生徒への就職支援についてでございます。県内の高校に配置しております百十三人の就職指導員があるわけでございますが、その指導員の皆さんによりまして、一人一人の希望、適性を踏まえまして、求人開拓を行っております。そして、新たな業種、地元の企業への紹介を強化いたしますとともに、新卒応援ハローワークの求人情報の積極的な活用も図りまして、一人でも多く就職できますように全力で取り組んでまいっております。さらに、県内四地区で開催をしてまいりました企業と高校生の合同会社面談会を、福岡地区におきましても追加して開催をいたします。  青少年の雇用機会確保指針の周知についてでございます。企業の採用に当たりましては、本来、新卒、既卒にかかわらず適性や能力で判断をしていただき、採用を決定してもらいたいというふうに考えております。このため、卒業後三年間を新卒扱いとすることは有用な人材を確保するためにも効果的な方策であると考えているわけでございまして、この取り組みがさらに地元企業に広がりますように、経済団体などが参加しております新卒者就職応援本部におきまして積極的にこれを進め、周知を図っております。  非正規雇用の現状に対する見解についてでございます。企業におきましては人件費の抑制、さらに雇用形態の多様化が進んでおりますし、また若者の仕事に対する意識も変わってまいりました。こういうことがありまして、ずっと非正規雇用が増加してきているわけであります。少子、高齢化が進んでおりまして、生産年齢人口が減少していくということがございます。また、女性の社会進出というようなことを考えますと、働きたい人がみずからの生活様式に応じまして多様な働き方を選択できるようにしていくということは非常に大事であるというふうに私は考えております。ただその際に、正規、非正規というような就業形態の違いということが、処遇の大きな差になってしまうという現状がございます。これは極めて不合理なことであるわけでございます。何といいましてもやはり、同一労働同一待遇を実現していくということが並行して非常に重要であるというふうに考えているわけであります。その一つの大きな突破口は、最低賃金をもっと思い切って上げるということであります。これをぜひ実現していく必要があるというふうに考えております。  三十代チャレンジ応援センターの事業内容でございますが、このセンターにおきましては、求職者の状況に応じました就職相談、専門的なIT事業などの研修を行っております。また、合同会社説明会を開催いたしまして、就職に結びつけているわけであります。今年度からは中途採用に理解のある中小企業によります就職応援団をつくってまいりました。会社合同説明会などに積極的に参加をいただいております。このような取り組みによりまして、これまで三千八百人の皆さんがここに登録しましたけれども、約千百人の皆さんが就職を実現いたしております。  若者しごとサポートセンターの就業支援についてでありますけれども、平成十六年にこのセンターを開設いたしました。以来三十六万五千人の若者が利用いたしました。五万二千人が就職をいたしております。本年度は四千人の就職を見込んでおります。来年度はそれを上回る五千人の就職目標を目指して取り組んでいく考えでございます。  センターのほうでは、専門の就職相談員を配置し、個別指導を行っております。また、模擬面接といった実践的なセミナー、ITや自動車関連産業に向けた人材の育成、小規模な合同会社説明会の開催にもきめ細かく取り組んでおります。また、全国でも例を見ない千人という規模で新規学卒者の地元企業での体験雇用を行っているわけでありますが、それに当たりましては、全員をセンターに登録しまして、就職支援に努めているところであります。さらに、金型産業、半導体などの経営者がみずからの会社のこと、あるいは将来について、高校生の諸君に説明、紹介する出前授業や会社見学会も新たに実施をいたしてまいります。このようなことによりまして、一人でも多くの若者が就職できますように、全力を挙げて今後とも支援してまいります。  筑豊地域の企業誘致の状況でありますけれども、これまでいろんな形で企業誘致をしてまいりました。平成十六年以降、筑豊地域には自動車、半導体関連産業を中心に四十五社が立地をいたしました。筑豊地域は現在自動車完成メーカーに非常に近いという地の利がございます。また、人材も豊富である。工業団地も整備されておる。このたびは、新たに鞍手インターチェンジの開通によりまして、道路網もさらに充実するというような条件が整ってまいってきております。さらに、ADOX──直方にあるわけでありますが、これも産業活動の支援施設として非常に有効なものでございます。したがいまして、このような条件を生かしながら、今後も県としまして、企業誘致に最大の努力をしてまいりたいと考えております。  筑豊地域の変化の状況でありますが、まず、非常に大きな筑豊地域の変化の原動力は、篠栗線と筑豊本線の電化でございました。さらに、烏尾トンネルにつきましても待望のトンネルが完成をいたしまして、このようなことを中心に基幹の道路網の整備が進んでまいりました。特に、その結果、福岡都市圏とのアクセスが非常に向上いたしたわけであります。また、今申し上げましたような自動車やIT関連の産業の集積が進んでおります。農業分野におきましても、筑豊農業の振興には特に力を入れてきたわけでありますが、例えばトルコギキョウの園芸産地として非常に大きな成長を遂げてまいったということがございます。白蓮・伊藤伝右衛門邸を初めとします観光資源の開発も進んでまいった。さらに、我々が非常に力を入れております田川の県立大学の強化も進んでまいってきたところでございます。このようなことでございますから、今後とも、一層このような新しい条件を生かしながら、地域の自立的な発展に向けまして、この潜在力を生かしていくということで活動をしていきたいと考えております。  今後、筑豊地域の発展の方向についてでありますけれども、今いろんな筑豊地域の基本的な発展条件の整備についてお話を申し上げました。特に、今後は企業誘致に加えまして観光の振興、さらに農業の振興に一層取り組んでいく必要があるというふうに考えております。そして、何よりも地域の発展の最も重要な条件は教育であります。それぞれの地域がしっかりした教育力を持ち、しっかりした人材を育てていくということが非常に重要な条件でありますから、人材育成という点にも大いに力を入れていかなければいけないというふうに考えております。同時に、この地域につきましてはさらに広域的な観点から協力、相互補完ということが必要でございまして、このような広域的なプロジェクトを進めてまいりたいと考えております。  飯塚市の産業廃棄物処分場に係るこのたびの高裁判決についてでございます。この事業者に対しましては、改善命令を出しまして、処分場の処理基準に適合するような是正措置を講じさせてまいりました。また、頻繁に立入検査を行いまして、浸透水の検査、さらには周辺の井戸及び河川の水質のモニタリング調査を継続的に実施するということによりまして、適正に対処してきたところでございます。今回の判決におきましては、これまでのこのような本県の取り組みを踏まえた主張が認められていない、遺憾な状況であるというふうに思っております。  今後の対応についてでありますが、今回の判決内容を精査いたしまして、十分検討した上で適切に判断をいたしたいと思います。  先日、私のほうでは、知事選におきまして小川氏への支援を表明いたしました。この点については後継指名ではないかというお話でございますが、十月に私が次の選挙に出ないというときに、同じように、後継を指名するかという質問を受けたわけでございます。このとき以来、私は一貫して、後継指名をする考えはないと申しましたけれども、同時に、選挙がいよいよ近まった段階では、どの方を支持するかを表明することはあり得るんだということを申してまいったわけであります。知事選も大分近くなってまいりましたので、このたび私自身の態度を表明したというものでございます。  そしてまた、このような私の活動が院政やかいらい政権になるんじゃないかというお話でございますが、およそそういうことは考えているわけではございません。平安時代の院政に戻すなんてことはあり得ないわけであります。というよりも、やはり、どなたが一番今後の私どもの大切な福岡県政を担ってもらうのがいいのかという、常にその原点を考えながら活動しているということでございます。以上です。 20 ◯副議長(林 裕二君) 杉光教育長。 *教育長答弁 21 ◯教育長(杉光 誠君)登壇 まず、小中学校におきます理科離れへの対応についてでございます。県では、平成十九年度から小学校に理科支援員を配置いたしまして、実験や観察の充実を図っておりまして、これによりまして、理科がおもしろい、好きになったという児童がふえるなどの成果が出ております。また、来年度以降、新しい学習指導要領の実施に伴いまして、理科の授業時数の大幅な増加を図るとともに、大学等で先端科学を体験できる中学生合宿講座なども実施することといたしております。今後も、このような取り組みを通じまして理科教育の充実を図り、科学や先端技術に関心を持つ子供を育成してまいります。  次に、県立高校における物理の履修についてでございますが、在学中に物理を履修する生徒の割合は三〇・四%となっており、ここ数年同水準で推移をしております。科学技術系人材の育成を図る上で、物理分野を含め生徒の理数能力の向上は重要であると認識をしております。このため、各学校におきます大学や研究機関との連携による学習活動の推進や、国際科学技術コンテストの参加促進を通しまして、高校生の理数能力の向上を図る事業などに取り組んでおり、今後ともこのような取り組みの充実に努めてまいります。  次に、職業生活へ移行するための学校教育の役割についてでございます。このことについては、各学校段階に応じまして、生徒が主体的に進路選択できる能力を養い、社会的、職業的自立に向け、多様なキャリア形成に共通して必要となる能力、態度を身につけさせるとともに、勤労観、職業観をみずから形成、確立させることが重要であると考えております。また、高校段階におきましては、生徒の進路選択に応じ、特定の職業に従事するための知識や技能を身につけさせる必要があると考えております。  普通高校におきます職業生活に移行させるための教育についてでございます。各教科や総合的な学習の時間、特別活動等の教育活動全体を通じまして、社会的、職業的自立に向けたキャリア教育に取り組んでおります。さらに、就職を希望する生徒に対しましては、職業科目の開設や就業体験、資格取得に向けた指導等の取り組みを行い、就業に必要な能力の向上を図っているところでございます。今後とも、普通高校におきます生徒が就職を希望する場合は、職業生活に円滑に移行できるよう、こうした取り組みの充実に努めてまいります。  次に、労働関係法制度に関する教育についてでございます。これについては、主として、小学校では勤労の権利と義務について、中学校では賃金や労働時間などの労働条件について、高等学校では労働基本権の保障や我が国の労働問題について理解を深めさせており、授業時間はそれぞれ二単位時間程度が充てられております。さらに、高等学校では社会保険労務士による講座なども実施をしております。高等学校の新学習指導要領におきましては、雇用、労働問題を初め、法にかかわる現代社会の諸課題に関する内容の充実が図られたところであり、その趣旨を踏まえ適切に対応してまいります。  最後に、雇用、労働に着目した高校教育のあり方についてでございます。学校教育活動全体を通した計画的、組織的な指導を行い、キャリア教育などの一層の充実を図っていくことが、今後とも重要であると考えております。なお、現在国におきましては、キャリア教育、職業教育のあり方について検討が進められていることなどから、こうした動向や雇用情勢の推移を見据える必要もありまして、現時点では県教審への諮問は考えておりません。 22 ◯副議長(林 裕二君) 吉柳順一君。(拍手) 23 ◯三十四番(吉柳 順一君)登壇 再質問と意見、指摘を行います。  初めは、外国人に対する施策の充実に関するものです。質問では、他県での事情も挙げながら、外国籍県民の県政参加を推進するための基本方針策定の必要性についてお聞きしました。しかし、答弁には、県政参加の推進という視点は全く抜け落ちており、大半は外国人に対する相談事業の現状の説明に終わっております。国際化の推進を主要施策に掲げる本県として、外国籍県民の県政参加の推進についてはどのように考えているのか、再度お尋ねします。  次は、産廃処分場にかかわる高裁判決についてです。知事は、本県の取り組みを踏まえた主張が認められず遺憾に思うと答弁されましたが、今回の高裁の判決では基準を大幅に超える鉛の検出も認定し、周辺住民の生命や健康に損害を生じるおそれがあると、県の対応について厳しく指摘をしております。もし、仮に知事の言う是正措置を講じさせるとともに適切な対応を行ったならば、このような結果にはなり得ないと考えます。再度、知事の見解をお聞きします。  次は、労働形態の多様化をめぐる問題についてです。知事の答弁にあったように、今後、生産年齢人口が減少していく中で、高齢者や子育て中の女性の労働市場への参加を考えた場合、多様な働き方を選択できる仕組みが必要であることは理解できます。また、その際に就業形態の違いで処遇に差が生じないようにすることは重要であります。しかし、問題は、これからの社会を担い、家庭を築いていくことになる若年層において、非正規労働を選択せざるを得ない若者が増加していることであり、この点にこそ、私たちと知事との間では、認識に大きなずれがあります。  昨年、厚労省に設置された有期労働契約研究会の調査では、非正規労働者の約四割が、正規労働者としての就職先がなかったことを、非正規として仕事についている理由として挙げています。こういった若者の正規労働の問題や生産年齢人口の減少の問題から、さきの研究会では、今後の雇用のあり方としては、多様な正規労働者として働き方を選択できる労働環境を整備することが重要だとの報告を行っております。  本県においても、今後は非正規労働の問題を残しながら多様な就労形態に対応する施策を進めるのではなく、正規労働者として多様な働き方を選択できる雇用環境を整備していくことこそ、この問題を解決する基本的な方向とすべきであると、強く指摘をしておきます。  以上で質問を終わります。(拍手) 24 ◯副議長(林 裕二君) 麻生知事。 25 ◯知事(麻生 渡君)登壇 外国人の皆さんの意見を、私どもの施策にいろいろ反映するという仕組みについて、特に外国人の皆さんによる会議をつくってはどうかというお話でございますけれども、この点につきましては、先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、国際交流センターなどの相談窓口、あるいは関係団体との意見交換を積極的に行っているわけでございまして、このような機会を通じまして、外国人の皆さんの意見を取り入れながら、外国人の皆さん、安心して、また仲よく福岡で生活できる環境づくりを進めてまいりたいと思います。  それから、飯塚の産廃場についての今後の対応でございますけれども、この点につきましては、事業者に対しまして、この処分場の適切な維持管理について指導を行っております。また、立入検査、モニタリング調査を実施してきておるわけでございまして、これらの調査結果を分析しているわけでありますが、生活環境保全上重大な支障が生ずるおそれがあるという状態ではないと考えております。今後とも、このような観点から、生活環境保全上に支障がないということのための立入調査、モニタリング調査を継続して実施してまいります。 26 ◯副議長(林 裕二君) 吉柳順一君。(拍手) 27 ◯三十四番(吉柳 順一君)登壇 今回の裁判の結果は、環境上非常に大きな、重大な損害があるということを認めているわけなんです。その点を踏まえて、裁判所の判断等十分しんしゃくして、住民の生活と健康、安心を守るという立場で、今回の…… 28 ◯副議長(林 裕二君) 吉柳順一君に申し上げます。発言時間を…… 29 ◯三十四番(吉柳 順一君)(続) ……以上で質問を終わります。(拍手) 30 ◯副議長(林 裕二君) 本日の代表質問はこれまでとし、残余は二月十四日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時 三十五分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...